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00/11/24 相場の張り方(その2)
ファンダメンタル分析について
前回の終わり方がちょっと中途半端だったので、続編を書きます。今回と次回ははファンダメンタル分析について、次々回から2-3回でテクニカル分析について説明します。
前回書いたように、「価格の動きの原因を何に求めるか」という問いに対して、「その取引する対象の本質的な価値」からアプローチする方法がファンダメンタル分析です。
基準となるのは、現在の価格と現在の本質的価値、将来の本質的価値の予想、の3つです。
具体的には
取引対象 |
本質的価値の背景 |
現状と今後の予想の例
(例えばです) |
株 |
配当利回り、益利回り、純資産価値 |
利益が増える→配当が増える |
為替 |
対外バランス
(貿易収支、資本収支、経常収支)
通貨の利回り (金利)
社会・経済の動き
(景気動向、政治情勢) |
対米黒字が増える
日米金利差が開く
自民党政権が終わる |
金 |
生産量、
消費量
生産コスト |
鉱山会社が閉鎖されることで、生産量が減少する。
中東の政情悪化により中近東での金の消費量が増える。
アーストラリアドル安により、生産コストが米ドル建てで下がる |
いわゆる新聞などで扱われる記事です。ある会社の製品が良く売れる→利益が増える→株が上がるという発想です。 (以下分かりやすいように株を例にして説明します。)
では、ファンダメンタル分析を基準とした、相場の張り方とは何でしょうか?
それは「株価がその会社の本質的な価値より安ければその株を買い、本質的価値より高かければその株を売る」という方法です。
では「株の本質的価値」というのは何でしょうか? 株を持つというのは、会社の所有権を持っていることですので、利益の分配に参加し、株主総会において会社の方針決定に参加し、会社が清算された場合はその残余価値の配分に参加する、こういった権利を持っているわけです。この権利の価値が株式の本質的な価値ということになります。
一番分かりがいいのが、利益の配分を受ける価値です。すなわち「配当」を受ける権利です。配当利回り(=一年間にもらえる配当/現在の株の価格)が高い方がいいわけです。しかし、将来の配当は保証されているわけではありません。例えば3月決算の株で、年一回配当の場合3月31日のその株の持ち主に配当をもらえる権利があります。現在の株価が1000円、予想配当が30円としたばあい、実際に配当がその予想通りに支払われた場合の利回りは3%となります。
しかし、本当にその予想通りに払われるかどうかは分からないです。例えば、次のような確立で将来のことが起こるとすると・・・
起こる内容 |
発生する確率 |
40円に配当が増額される |
10% |
予想通り30円配当 |
50% |
20円に減額される可能性 |
30% |
無配になる可能性 |
10% |
この場合、期待配当金は25円になります。それに、その25円も確実にもらえるわけではありません。
実際に3%確実に回る投資先(例えば預金のように)があれば、そちらに投資する方が良いと判断する人の方が多いかもしれません。しかし、実際には現在の預金利回りは0.XX%という異常な低金利なので、例え25円=2.5%でも十分に利回りでは魅力的であると言えます。
このように、配当利回りはその絶対的な水準だけでなく、預金の利回りのように投資家の利用できる金利との相対感で判断されることになります。
逆にいえば、配当はそんなに変化しません。が金利は中央銀行の金融政策によって変化します。比較する金利が上がれば(分子の配当はそのままを前提にすれば)株価が下がることによって配当利回りが上がって、金利とのバランスを取ることになります。同じく金利が下がれば、配当利回りは低くでもいいので、株価は情報することになります。配当というファンダメンタルな要因はこのような経路で株価を動かすことになるわけです。
ところで、本当に配当を払うことが株主にとってベストなことでしょうか?成長企業は投資が必要です。そのような会社にとって配当を出すより、内部留保をした方が良い場合もあります。無配の会社も配当の在る会社も同じ土俵で比較する方法は?この見方が益利回りというものです。利益(あるいは予想利益)を株価で割ったものです。予想利益が100円、株価が2000円とすれば、益利回りは5%ということになります。
しかし一般的には株価が利益の何倍であるか(=すなわち益利回りの逆数)の方をよく使います。いわゆるパー(PER)というものです。Price
Eaning Ratio(価格と利益の比率)の略です。当然PERが高い銘柄は利益を基準にした場合は割高。PERが低い銘柄は割り安になります。
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