<フィリピンの株式市場および経済情報について> キャピタル・アセット・マネージメント社の運用している、「フィリピン株式ファンド」の2012年8月の月次レポートによれば、フィリピン経済および株式市場の状況は下記の通りです。 豪雨の被害、追加利下げ期待の後退などで、フィリピン総合指数は8月末で5,196.19ポイントと前月末比2.1%の下落となりました。8月末の通貨フィリピン・ペソは、前月末比0.5%円高の1.86円(投信協会発表値)となりました。 ■ フィリピン株式市場: 豪雨による被害、追加利下げ期待の後退のほか大規模増資等が市場の重しに。 フィリピン総合指数は、8月末で5,196.19ポイントと前月末比2.1%の下落となりました。7月のフィリピンのCPI(消費者物価指数)が前年同月比+3.2%と前月の+2.8%から伸びが加速したことで、追加利下げ期待が後退しました。フィリピン中央銀行のテタンゴ総裁は洪水被害で食物コストが急上昇する可能性を指摘しています。また、株式市場では、時価総額の大きいSMインベストメンツなどが積極的な設備投資を行うため、公募増資による大量の株式発行が重しとなりました。 8月は、マニラ首都圏など各地で豪雨と洪水による甚大な被害が出ています。フィリピン証券取引所も、8月7日に休場となりました。今回の洪水では被災者数が200万人近くにのぼり、首都機能はほぼ麻痺状態に陥りました。これも、株式市場軟調の一因となっているものと考えられます。 なお、8月末の通貨フィリピン・ペソは、前月末比0.5%円高の1.86円(投信協会発表値)となりました。 ■ フィリピン経済: サービス業の好調、公共投資の拡大でGDPは+5.9%、外貨準備高は過去最高。 ◎GDP成長率: +5.9% フィリピンの第2四半期(4〜6月)の実質GDP成長率は前年同期比+5.9%でした。前期の6.3%から成長がやや鈍化したものの、前年同期の+3.6%、市場予測+5.3%をともに超過。不動産をはじめとするサービス業の好調や政府の公共投資拡大などが成長を押し上げました。上半期(1〜6月)成長率は+6.1%で、政府の通年目標(5〜6%)を上回るペースで推移しています。 国家経済開発庁(NEDA)は、これについて、要因として景況感や雇用状況の改善を挙げたほか、政府の公共建設への投資が45.7%の増加を記録したことや、資本形成の伸び率が前年同期の▲10.5%から+2.3%になった点も指摘しています。一方、国際経済の回復の遅れや中国の成長鈍化を今後の懸念材料としています。産業別にみると、全体の6割弱を占めるサービス業が過去最高となる7.6%の伸びを記録、不動産も+19.0%と引き続き高成長でした。ビジネス・プ ロセス・アウトソーシング(BPO)を含む事業活動も9.8%増と堅調に伸びています。 ◎外貨準備高: 過去最高となる793億ドル 7月末の外貨準備高(速報値)は793億4,673万ドル(約6兆2,200億円)となり、今年1月末に記録した過去最高を更新しました。7月末の準備高は前月末から約32億ドル、4.2%の増加であり、中央銀行の為替取引や海外投資による外貨の獲得、保有する金の評価額の上昇に加え、市中銀行の外貨預金の拡大が準備高を押し上げたと説明されています。 なお、7月末の金額は、短期対外債務の10.7倍に相当します。 ■ 今後の見通し: 良質な労働力、良好な経済のファンダメンタルズで、株式市場は堅調を予想。 日本や韓国、中国などアジアで製造業が盛んな国々では、少子高齢化問題が課題となっています。逆に、東南アジア新興国は若い世代の割合が大きいため、安価な労働力を求めて製造拠点や雇用、投資が南に向かう流れがあり、東南アジア諸国連合(ASEAN)の成長を後押しすると考えられます。特にフィリピンは、語学力の強さなどを背景として良質な労働力が多く、好影響を受けると見られています。 また、経常収支が黒字のフィリピン経済のファンダメンタルズは良好です。一層の財政支出、特に官民連携(PPP)事業の政府支出が増えるものと市場では見ており、弊社では、今後もフィリピン経済は堅調に推移すると予想しています。 欧州債務問題等で世界的に株式市場が不安定に推移するなか、フィリピンの株式市場は堅調な展開となると考えています。特に、消費関連、インフラ関連、銀行などの銘柄が経済成長の恩恵を受けると見ており、これらの業種を中心に投資する計画です。 |